【2023.1】読書ログ

宮地尚子『傷を愛せるか 増補新版』

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臨床医でありトラウマやジェンダーの研究者でもある著者によるエッセイ。心、感情、記憶、人間、傷とケア。過去の経験を通して医療人類学の観点から綴られる思索の数々が興味深かった。物事を一つ一つ観察し考えを深めていく冷静さと他者に寄り添う眼差しの温かさ。適度な距離感が心地いい。「弱いまま強くある」という言葉が印象的だった。心が弱った時に何度でも読み返したい、御守りのような本だと思う。

 

寺尾紗穂『彗星の孤独』

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大好きなソロアーティスト・寺尾紗穂さんのエッセイ。寺尾さんの書く歌詞はどれも本当に優しくて胸を打つんだけど、歌詞から伝わる眼差しの優しさや懐の深さみたいなものが文章からも伝わってくる。社会の網の目から零れ落ちる人たちのこと。忘れ去られつつある歴史とそこに生きた人たちのこと。生活を営むということ。社会の一員であるということ。社会的弱者の存在をないものにしない、誰もが安心して暮らせる社会を作るために、一人一人何ができるか。常に考え続けている人だからああいう歌詞が書けるんだろうなと思う。「政治(又は思想)と音楽は別」と言いたがる音楽ファンはまだまだ多いが、切り離せるものではないと個人的には思っているので、こうして政治や社会について真っ向から切り込んでいく音楽アーティストの存在に勇気づけられる。これからも応援します。

 

井上雄彦SLAM DUNK 新装再編版』

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映画「THE FIRST SLAM DUNK」にハマって全巻揃える羽目に。流石往年の名作漫画。映画を観てから原作を読んでも面白さが全く損なわれない。映画化された山王戦のパート以外も全部面白い。キャラクターも全員魅力的。面白くないところがない。年始から最高の映画・漫画体験が出来て良かったです。原作履修して2回目を観に行った結果、宮城と三井の二人に情緒をめちゃめちゃにされている。